何でもしびれるほどすごいプロジェクトにしてしまおう

4484003120トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ!
トム ピーターズ Tom Peters 仁平 和夫


プロジェクトマネージメントにおいて、重要な要素として、人のマネージメントがある。
やはり熱い思いとそれを冷静にセルフコントロールしたうえで、多くの人を歓喜の渦に巻き込みながら企画を実現する。
プロセス手順ももちろん大事ですが、勢いをつけて乗り切ってしまおうという情熱は必要なのだと思います。
やりたい!やりきりたい!この思いが無ければ、コンサルタントも、ただの評論家と何らかわないですものね。
要約
セクシープロジェクトで差をつけろ
ISBN4484003120

心臓に興味がない心臓病専門医なんて想像できますか

仕事のこと、鳥肌が立つプロジェクトについては、ほとんどふれようとしない
プロジェクトの半分は、冷静な分析が支え、あとの半分は情熱が支えるとも言えるが、この二つを分けてはいけない
プロジェクトのあらゆる側面を統合し、?冷静に熱くなって″はじめて後世に残る仕事ができる

チャレンジ!
それが 「しびれるほどカッコいいプロジェクト」 に変わるまで、いま取り組んでいる仕事の構造と性質をいじくりまわす。
その 「しびれるほどカッコいいプロジェクト」を売り込む。
現実世界における一流のプロジェクト管理とは、だいたいがセールスのゲームなのだ。
すなわち、プロジエクトに関わるすべての人たちが、協力・支援を惜しまず、最善を尽くしてくれるように?人の心をつかむ″ことである

実行
これには高度な技が必要になる。ユーザーを集める。大急ぎで試す。汗を流しては考え、考えては汗を流す。チームに勢いをつける
そして、立ち去る。成し遂げたプロジェクトが一発花火で終わらず、「うちの新しいやり方」として社内にしっかり根づくよう、「主流の人間」にバトンタッチしてしずかに立ち去る。
しびれるほとカツコいいプロジェクト
とかく、やりやすいものだけを選んでしまいがちだ。お願いだから、行動プランの半分ぐらいは、「こんなことができるだろうか」 と思うもの、自分と同僚を安全地帯から引きずり出すものを選んでほしい
幸運を祈る。お楽しみはこれからだ。

リフレーム
すごいプロジェクトが生まれるかどうかは、ただひとつ「枠を取っ払えるかどうか」にかかっている。どんな任務も業務も雑用も、出発点にすぎない
「期限どおりに予算内で仕上げた?それでどうしたというんだ」
私たちはいったい何のためにここに集まったのか。生涯忘れられない仕事をするためではないのか
フィル・ダニエルズ
「めざましい失敗には褒美を出す」
「平凡な成功は罰する」
取り組んでいるプロジェクトは、すごいものを目指しているか。それとも、「平凡な成功」に向けて進行しているか
平凡な成功1それは恥ではないし、無能を示すものではないし、(かならずLも)手を抜いた結果とは言えない。ただ、いまから五年後、胸を張って、その成功を自慢している図は想像しにくい
忘れ去られてしまうような平凡な成功を又一つ積み重ねるだけの仕事はやめよう

「すごい」という言葉自体にすごいパワーがある
担当者からこう聞かれた。この契約を結ぶと、うちはいったいどんな利益があるのかと。そう聞かれて、私は、自分に何ができるかを言わずに、どんなことをやれば?すごい〃と言ってもらえますかと逆に質問した私はその後、このセリフを何度も使っている。そして、そのセリフを口にするたびに、お客さんの顔がばっと輝く
トーマス・マクロー著『近代資本主義の創造』 
「資本主義は、夢と野心によって突き動かされる人間の、創造性の表現だと理解すべきである」

歴史に名を残す人の条件
本気だった(命がけだった)
自分にしかできないことがあるはずだと信じていた。
力を一点に集中した。
情熱があった。
リスクを恐れなかった。
頭がおかしいと、みんなに言われた。
時代に先行して、パラダイムを変えた。
せっかちだった(と同時に、目標を見失わなかった)。
すぐに行動を起こした(構えて撃ってから、狙いを定めた)。
多くの人たちの心に火をつけた。
独創的で変わり者だった。
反逆者だった(社会運動家も科学者も芸術家も)。
上司の顔色などうかがわず、命令系統など無視した。
不遜にして無礼だった。
混乱を喜び、混乱を利用し、臨機応変に動いた。
許可を求めなかった。
骨の髄まで正直だった。
欠点があった (美点に負けないくらい大きな欠点があった)。
あとに続く者の欲求と願望を汲み上げた。
一芸に秀でていた。

残念ながら、ほとんどの会社から、そういう人が消え失せてしまった。
わずかに生き残っていたとしても、白い眼で見られている。
だから考えてほしい。歴史に名を残す条件が、わが社で働く条件になっては、なぜいけないのか。

すごいことをやってみたいと思わなければ、すごいことは何もできない。
やってみなければ、できるかどうかわからない。
いまやらないで、いつやるんです?
マッキンゼーのとき同僚だったビル・マタソー二は、誰もやりたがらない書庫の整理という雑用を突破口にして、その会社の知識蓄積・共有システムを全面的に作り替えた。つまり、つまらない仕事から、顧客企業の新たな「コア・コンピタンス」を創造したのである。

「権限がないときほど、思う存分、力をふるえるときはない」
「権限のない」人間は、上司の監視対象からはずれる。誰も注意を払わないつまらない仕事を引き受け、それを思う存分こねくりまわせる。
つまらない仕事、みんなが嫌がる仕事に志願しょう。今日、いますぐ!・喜び勇んで!たとえ、いま抱えている仕事で手一杯だと思っても‥…
「権限のない人」は、判で押したように、自分にそんな「自由」は与えられていないと嘆く。

これは、自分は「能なし」だと言っているに等しい
「自由」はいつもそこにある。ほとんどの人がそれを使おうとしないだけだ。成功する人は「自由」があることを知っている。

馬糞があるということは、どこかに馬がいるということだ

自分が愛していないものを、人が愛してくれるとどうして思うのか。
情熱は情熱を生む。情熱はかならず、まわりに伝わる。
自分が恋に落ちるまで、プロジェクトを考え直し、見直し、枠組みを変えよう。
熱意にまさるものはない。
これは本当だ。プロジェクトの蔓性よりも、それに打ち込む熱意の差が、成否を左右した例は枚挙にいとまがない
プロジェクト全体は退屈でも、その中に何か、自分のチャレンジ棉神を刺激するもの恋心をくすぐるものがあれば、その部分だけを取り出してそれをプロジェクト内プロジェクトに変えてしまえばいいのである
それがうまくいったら、またそそられるものだけを取り出して、プロジェクト内プロジェクト第二号にすればいい

美しくないものは、なにかが間違っている

科学者のデービッド・ガランターは『機械美』 の中でこう書いている
美的感覚は、私たちが美しいものに出合ったときに共鳴する脳内の音叉である。
ティファニー社のデザイン主任、ジョン・ロリング
すぐれたデザインに、人は直観的、本能的に反応する。見てわかる真実があれば、説明を聞く必要はない。
具象的なデザインを、抽象的に論じるのはまったく馬鹿げている。

ビジネスをデザインしよう!私たちは全員がデザイナーなのだ。
現代人の心をつかむのは、大胆な動きであり、攻撃的なまでに粋でシックでエレガントなものだ。
どんなプロジェクトも、すごいプロジェクトに変えられるし、カッコよく実行できるし、優美に仕上げることができる。

これから立ち上げるプロジェクトについて、ホームページを開設しょう
ホームページの見栄えと内容次第で、プロジェクトの本質があぶり出される。
ホームページはくだらないが、プロジェクトそのものはすごい、なんてことはありえない

インパクト-あなたがいま取り組んでいるプロジエクトを、この四つの基準で評価してみよう

スタイル-カッコいいか?
質 - みごとな技か?
独創性 - 新しいか?
影響カ - それによって、進むべき道が大きく変わるか?

すごい! きれい! 革命的! インパクト! 熱狂的ファン!

まず目指すべきは、すごいことだ。そして、美しくなければ、すぐに忘れられる。革命の時代には、革命的なプロジェクトが求められる。この世に残すインパクトが、あなたの名刺代わりになる。
自らに課すめくらむような高いハードルを、お客さんといっしょに越えなければいけない。
ケン・ブランチヤードとシェルドン・ボウルズが書いたベストセラー『一分間顧客サービスーー熱狂的ファンをつくる三つの秘訣』
「顧客満足」程度で満足してはいけない。すべてのお客さんを「動く広告塔」すなわち熱狂的なファンに変えなければいけない。
獲得すべきは、文句を言わないお客さんではない。興奮して踊りだすお客さんである。

「熱狂的ファン」とは何を意味するか
自分がお客さんの立場だったら、どんな製品やサービスの熱狂的なファンになるか、満足はしても感動はしない製品やサービスはどんなものか、考えてみよう
何がお客さんをイライラさせ、何がお客さんをワクワクさせるのか
プロジェクトチームの全員に「完成予想図」を描いてもらい (年末に書き換える履歴書のために)、描き終わったものをみんなで比べてみよう(夢を交換しょう)

自分が描いた「完成予想図」にしびれないようなら、プロジェクトを考え直したほうがいい

独創的なものは、異質のものがぶつかりあって火花が散るところから生まれる

この五つを尺度にして、プロジェクトを測定してみよう
すごいことをやってみたいという強い願望がなければ、すごいことは絶対にできない(ほかの四つについても同様である)
測定を考えよう。
五つの言葉の意味は、誰もが知っているはずだ。誰でも理解できる言葉だから、プロジェクトの方向を決めるとき、現状を評価するときに、これを共通の言語にして話し合いができる。たとえば、「美しさが七〇点だから、進む方向は間違っていない」あるいは 「ファンの熱狂度が三〇点だから、ちょっと引き返そう。どこかで脱線したにちがいない」など 
すごい、きれい、革命的、インパクト、熱狂的フアンという言葉を使って話し合うことに慣れてくると、みんなのつける点数がだんだん一致してくることが、私たちの調査でわかっている
この五つの視点(尺度) をいつでも思い出せるようにしておこう

さっそく締切りを設定しょう
最初の締切りは、どんなに遅くとも五日後だ
締切りは地雷線だ。うっかりして、それを踏み越えていくチームメートがいないように注意しよう

革新的なプロジェクトには敵がつきもの
敵を包囲し、無視し、そして忘れろ!
抵抗を乗り越えよう」とはせず、「包囲・無視」戦略をとる
目指すものが「必然の流れ」になるまで、敵のことは忘れる。そして、勝利の寸前になって、あわてて敵が寝返ってきたら、その手を握って歓待する
有能な改革の旗手は、誹誘中傷など気にしない。敵の攻撃を相手にしない。自分の信念にしたがって、黙々と仕事をする。味方を増やすことに全力をあげる。そして、あるときふと気がつけば、傍流が本流になり、敵は大河に取り残された中洲になっている。
敵が姿を現わせば、それと戦いたいと思うのが人情だ。敵がみんなの前で、自分をののしっている場合はなおさらだ
これほど時間とエネルギーと資源を無駄づかいするものはない
私たちのもっとも貴重な資源である感情資本が無駄に消費される
敵を攻撃すれば、あなたのプロジェクトに反対していない「敵の友」まで敵にまわしかねない
確かに敵をぶちのめす快感は、なにものにも代えがたい
しかし 、戦えば敗者が出るということの意味をじっくり考えてほしい
敵と戦うのは愚策であり、エネルギーの無駄である
貴重な時間を、サポーターを増やすために費やそう

ワークブレイクダウン
まずはプロジェクトを分解する必要がある
口に入る大きさ、今日できる大きさ、半日でできる大きさに、切り分ける必要がある
遊んで、テストできて、何かを学べる小さなパズルの断片を見つけるために、プロジェクトを細切れにしよう
大きなものを細切れにすると、勢いがつき、達成感を味わえる

仕上げ - 最後の2%
最後の二パーセントが、「いいね」と言われる仕事と「すごい」と言われる仕事の境目になる。
仕上げのプロは、人間国宝である。どのプロジェクトでも、仕上げのプロが必要になる
仕上げのプロをスカウトしよう。泣く子も黙る仕上げの名人を探しまわろう。
その人を「つまらぬことにケチをつける人」の攻撃から守ろう (悪いところを直すために来てもらったのだ)。

15分会議
毎朝、チーム全員が集まって最長15分の会議を開く効果は計り知れない
その日やるべきこと、その日必要になる助け、昨日やらかしたドジなどが鮮明になるからだ
仕事中も何か困ったことが出てきたら、すぐに「15分会議」を招集して、すぐに問題を解決しよう。
宗教の戒律を守るように「最長15分ルール」を守れば、自分でもびっくりするほど仕事がはかどる
人間というのは、問題を話し合うのに15分しかなければ、15分で問題を話し合ってしまうものである
言いたいことをきちんと整理するいい訓練になる
なにより、愚にもつかない儀式をやっている暇がなくる
15分しかなければ、行動、明噺、簡潔、焦点、単純を重視せざるをえない

引継ぎ
ベンチャー企業でも、起業家からプロの経営者にバトンを渡すべき時がくる。これは苦悶の決断だから、潮時を読み間違う起業家が多い。
バトンタッチがうまくいくかどうかで、その後、大輪の花が咲くかどうかが決まる
「システムにうるさい連中」をチームに引き入れ、プロジェクトの成果が会社の日常業務に幅広く取り入れられるよう、業務マニュアルの作成に熱心に取り組もう
中心となるメンバーを変わり者や反逆者から、エリート・タイプに切り換えよう